日本舞踊は形態模写。と知識。
2024/03/07
★今回のブログのポイント★
・日本舞踊では形態模写をすることが大切
・プラス、知識や経験があると踊りやすい
日本舞踊と一言で言っても実は色々あるので、今回私がお話するのは特に「古典舞踊」のこと、という前提でお話します。
日本舞踊はただお扇子を振り回して踊っているわけではなく、情景や人の行動・感情などを表現しながら踊っています。
その曲に登場人物がいるのであれば、その登場人物の気持ちになって踊らなければいけませんし、
明確に登場人物がいないような曲であれば、「桜が咲いてきれいだ」「雪がしんしんと降っていて風情がある」
など、曲の中に出てくる情景を体で表現して踊ることが多いのです。
それが題名にも書いた「形態模写」ということですね。
一応「形態模写」をネットで調べてみると、
『形態模写とは、動物や人物の動作などを身振りを使って真似る演芸』と出てきます。
パントマイムみたいな感じですね。
私の中でパントマイムの代表的なものと言えば、”目の前に透明な壁があって通れないフリをする人”で
「あれ?ここに透明な壁がある?!」と、目の前にある透明な壁に手のひらをペタペタと当てるやつです。(笑)
みなさんイメージつきますか?(笑)
それもパントマイムをする人が「あれ?!見えないけどここになんかある?!通れないんだけど!!」
という感情&表情でやらないと、その「透明な壁」はお客さんにも伝わらないんですよね。
たとえばパントマイムをする人が、全くの無表情、全く何も感情をいれずにペタペタと手だけ動かしているとしたら、
たぶんお客さんは「この人何やってんだろう?」で終わると思います。
そしてさらに、演じる側が持っていた方が良いのが「知識・経験」です。
先ほどの例で言うと、パントマイムをする人が「壁を触った経験」があること。
「壁」が堅いものなのか、柔らかいものなのか、まっすぐなものなのか、曲がっているのか、、、
そういった知識経験があると表現しやすいですよね。
日本舞踊のお振りで言うと、例えば「井戸」。
皆さんは実物の井戸を見たこと、触ったこと、中をのぞいてみたこと、水をくみ上げてみたことはありますか?
私の実家はド田舎で、実家には井戸があります。
スイカを吊り下げて冷やしたことや、水をくみ上げた経験もあります。
だからイメージしやすいし、表現しやすい。
習い始めの方に覚えてもらう曲のなかで実際に井戸汲みの振付があるのですが、
今通ってくれている中学二年生の子は実際の井戸をみたことがないと言っていました。
見たことがないのが悪いのではなく、見たことある方がイメージ付きやすいし、お振りも覚えやすいし、
表現しやすいよね、ということです。
特に日本舞踊は昔の日本人の暮らしを表現することが多いので、古いことを「知っている」ことがやや有利になることがあります。
まさに「知識と経験」ですよね。
(ちなみに見たことがないものに関しては、その場でネット検索をして画像を見せ、理解しやすくしています)
「モノ」だけでなく、「感情」も一緒です。
嬉しかった時に笑顔になり、なんだか鼻歌でも歌いたいような気持ちになる。
悲しかった時に気持ちがずーんと沈む。
恋をしたときに好きな人の顔を想い浮かべて、ルンルン気分になる。
などなど、このような経験があればその時のことを思い出して、踊りの中に表現できる。
これはつまり表現力に繋がると思うのです。
日本舞踊では踊り手は歌ったり、顔(表情)に出さない分、体の使い方で表現しなければならないため
難しいところですが、表現力を磨くことに繋がると思います。
私が芸能関係の道に進みたい方に日本舞踊をオススメしているのはこの理由からなんですね。
まぁ、偉そうにこんなことを書いている私もまだまだ勉強中なので、
弟子さんと一緒に表現力を磨いていけたらと思っています。
というわけで、今回は「形態模写」についてでした!
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日本舞踊 川勝流 ちさや会
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